Move out society / 移る
7月になってTwitterがつながりにくくなった。
現象が発生し始めたは1日の夜かららしい。
らしい、というのは自分の環境では特に問題なかったので気づかなったということだけである。私が把握したのは翌日2日になって、TLがざわついているのを見てからである。
Elon Musk氏のツイートによると、データスクレイピング対策としてAPIへのアクセス制限をかけたらしい。
To address extreme levels of data scraping & system manipulation, we’ve applied the following temporary limits:
— Elon Musk (@elonmusk) July 1, 2023
- Verified accounts are limited to reading 6000 posts/day
- Unverified accounts to 600 posts/day
- New unverified accounts to 300/day
制限は認証済みアカウントで6000件/1日(数時間後に10000件/1日へ緩和)、未認証アカウントで600件/1日(数時間後に1000件/1日へ緩和)となっている。
これがどれくらいの制限かと言うと、通常時のアクセス制限が900件/15分なので1日換算で86400件/日。
つまり認証済みアカウントで約93%減、未認証アカウントに至っては約99.3%減になる。
地球へやってきたサイヤ人も認証されていないと一般の地球人達に囲まれたらボコられてしまうレベルである。
ちなみに、API制限の理由となっているデータスクレイピングは、先日APIが有料化されたことによって正規のルートでAPIへリクエストを投げることのハードルが上がってしまい、それよりも直接アクセスして情報を取った方が安上がりだから発生するようになったと言われている。
他にも6月末でGoogleのクラウドから自前の環境へ移行しようとしたが、それに間に合わずに7月を迎えてしまったので、とりあえずアクセス制限をして急場を凌いでいるという説もある。
システム屋さんとしてはあるあるな理由なのでとても納得感のある理由なのだが、あくまで噂に過ぎないし、この先本件がどう転んだとしてもデータスクレイピングという公式発表以外の理由が出てくるとは思えないので、推察するだけ時間の無駄というものだろう。
◇
Twitter社がElon Musk氏傘下になってから(現在はX社に統合されている)システム改変が頻繁に行われており、こういった形でユーザへ影響を及ぼすトラブルがしばしば起こっている。
氏にとってはTwitterは体の良いおもちゃに過ぎないのかもしれないし、これだけのユーザがいる環境をさくさく改変できる胆力が(同業者目線の感覚からすると)凄いとも思う。
そんなトラブルが起こるたびに「Twitterサ終」と言ったキーワードがトレンドを騒がし、モデルさん達はInstagramやTikTokなどの別SNSへの誘導を促し始め、テキストチャットとして利用するツイッタラー達はMisskeyとかMastodonなどのTwitterライクな分散型SNSへの移行を検討し始める。
私自身は特定の移行先を特に考えてはいなかったりする。
元々は個人サイトブームに影響されて取るに足らない”ホームページ”を作成して駄文を書き綴っていただけの人間である。
それが学生時代の同級生にmixiへ招待されてSNSの世界へ初潜入し、そのmixiの中で広がった交友関係が時の流れとともにTwitterへ移行していったので、ただついていっただけでそこに大した考えなどはなかった。
それから10年以上の間にFacebookやInstagramなど他のSNSにもいくつか手を出してみたものの、諸々の理由によりアカウントが残っているだけで実質放置してしまっているような状態である。
発信するだけであればちょうど最近再開したこのブログで良いし、あとは知っている人たちが多く集まったSNSがあれば交流のためにその場所へついていくくらいになるだろう。
あとは技術的に興味があるサービスがあれば手を出すことがあるかもしれない、といったところだろうか。
少し前はMisskeyやMastodonのような”分散型”SNSという点に興味をひかれた時期もあったが、ある程度の技術的な知識が身についたことで未知の技術感が薄れたということや、そもそもユーザ視点で分散型であることを意識することはほとんどないだろうなという思いに至り、結局手を出していないままであるし。
技術者という立場からすると興味が出た時点で手を出しておく方が良い気もするけど、こういう時に謎の警戒心から手を出すのが遅れるのが至らない点である。
◇
私は、SNSの黎明期には既に成人男性(たぶん)であった中年男性である。
仮にTwitterが何らかの理由で無くなって主に利用しているSNSが無い状態になったとしても、無かった時代を一応は経験しているので過去を思い出すような形である程度想像できる。
なんならインターネットが全く普及していなかった時代も記憶しているので思い返すことはできる。
今更あの時代に戻ったら相当不便を感じるだろうから戻りたいとは思わないのだけれども、そう拒みたくなる程度には”無い生活”をイメージすることはできる。
一方で、今の20代より若い世代の人達は”無い生活”を体験したことがない、という人の方が多いかもしれない。
経験のない世界を想像するということは、きっと私が考えているよりも不安が大きいことだろう。
もしかしたら、自分がメインで活動しているSNSが消えてしまうかもしれないということは、私が感じているよりも大きな不安を伴っている出来事なのかもしれない。
制限の中を合間を縫うように現れるツイートの喧騒を目にしながら、そんなことを考えた。
< Source of Photo : Ketut Subiyanto from Pixels >
