Implement Forge Neo/ForgeNeoを導入した話 #3(wan編)
ローカルPCに導入したAIツールを久しぶりに触った話。その3はwan videoを試してみた話。
はじめに
Forge Neoを導入した話。その1はForge Neoをインストールした話、その2はKrea2モデルを試した話をした。
その2の冒頭でも触れたとおり今回は動画生成に対応しているAIモデル「wan2.2」を試してみた話。
Wan2.2を試してみる
「Wan2.2」ことWanVideoは中国EC企業のアリババの傘下であるアリババ・ダモアカデミー(Alibaba Tongyi Lab)が開発した動画生成AIモデルである。ちなみに画像生成モデル「Qwen」も同社のモデルとなっている。
ローカル環境で実行できる動画生成AIと言えば、今回の「Wan2.2」以外に「FramePack」「MiniMax H3」「LTX-2.3」などが挙げられる。当初はこれらのモデルの中で私が一番最初に名前を聞いたことがあった「FramePack」を試してみようと思っていたのだが、Forge Neoが対応しているのがWan Videoだったのでまずはこちらを試してみることにした。
ただ若干苦労した点として、インターネット上にあるWanVideoに関する情報はComfyUIを使っている人が大半でForge Neoを使用している人が少ないということであった。これについてはComfyUIの方が現在の主流なので仕方がない話であるのだが、そのためこれまで以上に手探りでセットアップしたのでもしかしたら非推奨な手順があったり抜け漏れなどもあるかもしれないがご了承ください。
FFmpegの追加
ForgeNeo自体はwanをサポートしているが、デフォルトの状態では生成したフレームから動画に変換することができない。そこで「FFmpeg」と呼ばれる動画変換や編集に対応したオープンソースツールをForge Neoに追加しなくてはならない。
FFmpeg公式のダウンロードページへアクセスして実行ファイルを取得する。
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| 左側のメニューにある「Download」からこのページにいくことができる |
今回必要になるのは実行ファイルだけなので上部の「Download Source Code」ではなく、下部左側の「More downloading options」からのダウンロードで問題ない。私のパソコンのOSはWindows11なのでWindowsのロゴにマウスカーソルを合わせると、ロゴの下のリストが「Windows EXE Files」へ切り替わる。
「WIndows builds by BtbN」をクリックすると見慣れた(?)GitHubのページへ遷移する。
ビルドされた実行ファイルがあるので、自分のOSに対応した実行ファイルをダウンロードする。私の場合であればWindows(x86_64)である。それぞれGPLとLGPL、staticとsharedの全4種類のダウンロードリンクがある。ソフトウェアを開発しているわけではないのでGPL、そして欲しいのは実行ファイルだけなのでstaticで良い。したがって「GPL, static」をダウンロードする。今回私は「ffmpeg-master-latest-win64-gpl.zip」をダウンロードした。
なお、上記ページのキャプチャ画像では最新版の9.0がリリースされているが、私がセットアップした時点では旧バージョンの8.1のみとなっていた(はず)。未検証ではあるがバージョンはあまり気にしなくても大丈夫だと思われる。
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※個人的なざっくりしたメモ
- GPL(General Public Licence)とLGPL(Lesser General Public License)
- 対象のOSSライセンスを用いてプログラムを開発した場合に対象を含むコード全体をOSSとして開示する必要があるかどうかが異なる。GPLを用いた場合は全て開示しなくてはならないが、LGPLの場合はライブラリそのものを改造しない限りは必要ない。
- いずれの場合も対象のOSSライセンスを用いたプログラムであることを明記しなければならない。
- 個人利用(=公開しない)においてはいずれも問題ない。
- staticとshared
- staticは実行ファイル(exeファイル)にすべてのライブラリが含まれている。sharedは実行ファイル(exeファイル)とライブラリ(dllファイル)が分かれている。
- コマンドラインから実行するだけなら実行ファイルに全て包含されているstaticでよい。sharedの方はプログラムに組み込む場合などに用いる。
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ダウンロードしたZipファイルを展開するとBinフォルダの中に実行ファイルが3つある。
- ffplay.exe(動画を再生する)
- ffprobe.exe(動画を解析する)
- ffmpeg.exe(動画を変換する)
モデルファイルの配置
次はwan2.2で使用するモデルファイルを取得して配置する。
wan2.2のモデルファイルは生成する方法(t2v/i2v)によってそれぞれ異なるので、自分が利用したい(生成したい)方法に合わせて対応したモデルをダウンロードする。私の場合はillustriousやKrea2で生成した画像から動画を作成する想定だったのでi2vモデルを採用した。
- t2v(text to video):テキスト(プロンプト)のみで動画を生成する
- i2v(image to video):画像から動画を生成する。生成する動画の内容を指定するためプロンプトも勿論使用する
なお、flf2v(First Last Frame to video)と呼ばれる、動画の最初と最後のフレームとなる画像を指定してその間をつなぐ動画を生成する方式もあるのだが、現行のForge Neoはflf2vには対応していない。なのでflf2vをしたい場合はComfyUIを使用することになるだろう。
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さらにwan2.2で動画生成する時には2種類のモデルを連続して使用する。
- High Noiseモデル:大まかな形や動きを作るためのモデル
- Low Noiseモデル:細かな部分や整合性を合わせるためのモデル
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モデルファイル名にある「14B」や「5B」はモデルのパラメータ数でB=Billion(10億)という意味である。また「fp8」とか「bf16」は浮動小数点の定義になる。Krea2の説明でも雑に触れたとおり数字が多い方が品質は良くなるがその分重くなるとざっくり考えておけば(厳密には正確ではないが)問題ない。
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というわけで使用するモデルを取得することになるのだが、Hugging Faceにあるモデルファイル一覧を参照してもらえば分かるとおり、ファイルサイズが一番小さいのでも10GBととても大きい。
私の使用しているパソコンはRTX5080を搭載しておりゲーミングPCとして見ればそれなりの性能はあるもののVRAMがそこまで多くないのでAI動画生成をするにはまだ心許ない。そんな人向け(?)にこれらのモデルを軽量化した量子化モデルが用意されている。これまで使用していた標準モデルと呼ばれるファイルの拡張子は .safetensors だったが、量子化モデルでは拡張子が .gguf になっているのが特徴である。
そしてこの量子化モデルの場合は、さらにどの程度のビット数の数値で丸め込むかで種類が分かれている。「Q3」は3ビット量子化、「Q4」は4ビット量子化、「Q5」は5ビット量子化…といった感じである。量子化については私の知識量では到底説明できる気はしないが、ビット数が小さくなればなるほど処理は軽くなるがその分精度はトレードオフになる、みたいな感じで考えると良さそうである。
あと「K_S」とか「K_M」とかは量子化の方式とかビルドの方法とかを意味しているらしい。色々調べたところ「Q4」と「K_S」の組み合わせが一番無難というかよく使われているみたいなので、この辺りについてはもう深く考えることはせずにとりあえず先人たちが推奨するモデルを使用することにする。
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量子化モデルは以下のHugging Faceにある。VAEもあるので一緒に取得しておくとよい。
- t2v:https://huggingface.co/QuantStack/Wan2.2-T2V-A14B-GGUF/tree/main
- i2v:https://huggingface.co/QuantStack/Wan2.2-I2V-A14B-GGUF/tree/main
ちなみにVAEの方はwan2.1と書かれていて今回使用するwan2.2とバージョンが異なっているが、wan2.2でもそのまま利用できるので気にしなくて良い。
私の場合はi2vをするので以下のファイルを取得した。
- Wan2.2-I2V-A14B-HighNoise-Q4_K_S.gguf
- Wan2.2-I2V-A14B-LowNoise-Q4_K_S.gguf
- wan_2.1_vae.safetensors (VAE)
量子化モデルの2ファイルは「<Forge Neoのインストールディレクトリ>\Model\Stable-diffusion」、VAEは「<Forge Neoのインストールディレクトリ>\Model\VAE」配下に置く。
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Text EncoderはこちらのHugging Faceにある。fp16とfp8の2種類があるが私はfp8を使用した。
リンク先のHugging Faceのパスを見ると「Comfy-Org」と書かれており、おもいっきりComfyUIでの使用を想定しているっぽい雰囲気があるが、モデルファイルはForge Neoでも問題なく使用できるのでこれも気にしなくてよい。
Forge Neoの起動・実行
モデルの配置が完了したら、これまでと同じようにForge Neoを起動する。
起動後、立ち上がったUIの一番左上にある「UI Preset」を「wan」にすると、インタフェースがwan用のUIへと切り替わる。(一見するだけだと違いが分かりにくいが)
「Checkpoint」にHigh Noiseのモデルを選び、「VAE / Text Encoder」にダウンロードしたVAEとText Encoderを選ぶ。
Low Noiseモデルの方はどこに設定するかというと、画面下部にあるGenerationタブ内にある「Refiner」にチェックポイントを入れて、その枠の中にある「Checkpoint」の項目に設定する。
Refinerの設定を忘れる(チェックを外している)とLow Noiseモデルが使用されずHigh Noiseモデルだけで処理をすべてやってしまい、とてもぼやけた動画が出来上がることになる。画像生成ではあまり使わない(少なくとも私は一度も使ったことがなかった)Refinerを使用することになるので忘れずに設定しよう。
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あとはパラメータを設定していく。主に設定するのは以下のとおり。
- Sampling Method:Eular(デフォルト)
- Schedule Type:Simple(デフォルト)
- Sampling Step:20くらい
- 高速化LoRAを使用すればステップ数を4~8程度に減らせるらしいが、今のところComfyUIにしか対応していない?ようなので今回はスルーとした
- Refiner:チェックを入れる
- CheckPoint:ダウンロードしたLow Noiseモデルを選択
- Switch at:0.875(デフォルト)~0.9
- 最初に選択したモデル(今回であればHigh Noiseモデル)からRefinerにて選択したモデル(今回であればLow Noiseモデル)へ切り替わるタイミングを設定する項目。
- 数値はRefinerを稼働させる割合を表しており、0.0ならRefinerに切り替わらず、1.0なら起動すぐにRefinerに切り替わるようである
- Width、Height:解像度。PCの性能に応じて決める
- Frames:生成するフレーム数。生成される動画は16fpsなので、動画の秒数としては「フレーム数÷16」(秒)となる
- 私のPC環境(メモリ64GB、グラボRTX5080)だと1024×768で5秒が精いっぱい。時々グラボが応答しきれずにPCがブラックアウトしたので、もう少し解像度を落とした方が良い感じ。
- デフォルトの解像度だと1024x1024になっているが、最初は512×512くらいで試してみる方が良いと思われる。
- CFG Scale:3.0~4.0くらい。これより多少前後しても問題無さそう
- Denoising Strength:1.0。0.95くらいまでなら生成できるが、それより小さくすると動画が真っ白になった
- Upscaler for img2img:4x-UltraSharp
i2vで稼働させる時は開始フレームにする画像の設定とResize Modeの指定が必要となる。
これ以外の項目についてはデフォルトのままでよい。各パラメータの生成が終わったら「Generate」を押下して動画生成を開始する。解像度1024x768の90フレーム(5秒)で20分くらい、解像度960x512の48フレーム(3秒)で10分くらいで生成することができた。
生成時間については稼働させるパソコンの性能次第で変わってくると思うのでご参考程度に。
動画生成中のリソース状況を軽く確認した感じだとタスクマネージャーでGPUが100%に貼りついていて、GPU-Zで見るとPerfCap ReasonがPwrとなってグラボの使用電力制限まで到達している感じであった。MSI Afterburnerを使って電力制限を設定しているので完全にフルパワーで稼働させているわけではないが、GPUの性能が生成できる動画の解像度やフレーム数の上限に直結するだろうなという印象である。
感想
動画生成は初挑戦であったが、ハイエンドとまでは言えない私のパソコンでもきちんと動画が生成できたことにまずちょっと感動したというのが正直な感想である。
●とは言えリソースはギリギリであると感じた
動画生成をしていると時折パソコンがブラックアウトすることがあった。
ざっと調べた感じだとグラフィックボードからの出力がタイムアウトしてしまったことで引き起こされるブラックアウトであったようで、キー操作は受け付けているようだがディスプレイには何も表示されないという状態でコマンド操作でOS再起動するしかなかった。色々とOSの設定を調整してみたりもしたのだが解決はしていない状況である。
RTX5080でForge Neoを用いてwanモデルの動画生成するのはおそらくギリギリの状態であると思われる。もうちょっと安定した動画生成をしたいというのであれば、高速化LoRAを使用するなどして処理負荷を減らす方向に取り組んでみるか、或いはwan2.2以外の他の動画生成モデルを試してみた方が良いのかもしれない。
高速化LoRAもwan2.2以外のモデルも現行のForgeNeoでは未対応なので、他の方法を試すのであればComfyUIを使用するしかなさそうである。
●プロンプトの保存
画像生成のときは生成時に使用したプロンプトは画像ファイルの中のメタタグに埋め込まれているので、後からでもどんなプロンプトを使用していたかを確認することができた。しかし動画生成の場合は生成した動画ファイルからはプロンプトを確認することはできないようであった。
作業が生成したその時だけで完結するのであれば問題ないが、後日再度試したいといった場合は別途プロンプトを管理しておく必要がある。
生成時に使用したプロンプトを別途出力するログ機能のようなものは(たぶん)今のところなさそうなので、個人で別途保存管理しておくしかないと思われる。画像生成の時は必要のなかった作業であるので、ここについてはちょっと面倒だなと感じた点である。
●生成した動画の使い道
久しぶりにパソコンだけでAI生成をする(その2・動画編) 1. Forge Neoを使ってギャルさんの画像を生成する 2. 再度Forge Neoを使って生成画像をベースに5秒の動画を2つ生成する 3. 作った動画をPremiere proで編集(結合&黒背景化)する https://t.co/9I7VLdiV0o
— りらいと (@_ReWrite_) October 12, 2026
生成した動画をポストしたのが上記。
よくあるV-Tuberのアバターのように、Live2Dを使って立ち姿をゆらゆらと動かすようなイメージで作ってみたものである。一度の処理で生成できるのはせいぜい5秒が限界なので、それよりも長い時間の動画を作ろうと思うとポストしたもののように生成した動画の最終フレームの画像からi2vさせるのを繰り返していき、生成した複数の動画を動画編集ソフトで結合させなくてはならない。
動画一つを生成するのに10分以上かかることや同じ画像を使ったi2vでもSeed値によってはどうしてもバラつきが出ることなどを考慮すると、1分の動画を作るだけでも一日作業になってしまうだろう。なので長尺の動画を作るのは現状では現実的とは言えず、短時間の動画をどう利用するかが肝になるかなと感じた。例えば5~10秒程度のループする動画を使って長時間動かす絵を作るとか、複数の静止画と短時間の動画を組み合わせてアニメーションを作るとかそういった用途に向いていそうな気がする。
終わりに
wan2.2を触ってみたファーストインプレッションはこのような感じだった。
生成される動画の品質は良いのだけど生成される動画が短時間でかつ生成に長時間かかることを踏まえるとなかなか用途は限られそうではある。しかしながら、やはり一枚絵の画像よりも数秒でも動く方が見た目のインパクトは大きい。本文でも触れたようにComfyUIを使用してみることも視野に入れてもう少し試行錯誤してみても面白そうである。




