SASと診断されCPAPを使い始めた話

 

睡眠時無呼吸症候群になった

先日病院へ行ったところ、とある病気であることが判明して治療を行うことになってしまった。その病名は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言い、その治療に用いられる器具およびその方法をCPAP(持続陽圧呼吸療法)と言う。

Wikipediaによると成人の1~6%程度が発症すると言われているようで珍しい病気というわけではないようである。今回は睡眠時無呼吸症候群に罹っていることが判明した経緯とCPAPによる治療を始めて半月ほど経過した感想を綴ろうと思う。


睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群SAS:Sleep Apnea Syndrome)

睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患のこと。

ということで、眠っている間に何らかの理由によって息が止まってしまう病気のことを睡眠時無呼吸症候群(SAS)と呼ぶ。これ以降は長いのでSASと省略することにする。

SASになる原因としては「脳の呼吸中枢の異常」か「睡眠中の筋弛緩による気道の閉塞」、またはこの両方によって発症するらしく、私の場合は後者の「睡眠時の筋弛緩」によるものと診断を受けている。

SASのイメージ図(※AI生成)

SASの症状としてよく見られる症状としては「いびき」が挙げられる。SASの場合は一定時間の無音と大きな音を繰り返すことが特徴とされており、無音の間が呼吸が止まっている期間であると言われている。いびき以外の症状としては「脳の不眠」「睡眠時の中途覚醒、頻尿」「日中の傾眠傾向」「抑うつ」などがあるとされている。

またSASによって十分に眠れない日々を続けることで、脳や心肺機能への日々のダメージが回復せずに蓄積されていき、高血圧や肥満、脳卒中、心疾患など様々な合併症を引き起こすリスクが高まっていくとも言われているらしい。


持続陽圧呼吸療法(CPAP)とは

CPAP(持続陽圧呼吸療法:Continuous Positive Airway Pressure)

眠っている間に鼻や口に装着したマスクから空気を送り込んで気道を広げる装置。SASの治療のために使用される。

そんなSASの治療法として持続陽圧呼吸療法(CPAP)と呼ばれるものがある。

気道が塞がってしまって呼吸ができないのであれば気道を開けてしまえばよい。そんなストロングスタイルな考えに基づく治療法で、鼻や口から空気を勢いよく送り込んで、その空気圧によって塞がった気道を広げて空気を流し込む装置となっている。

CPAP装着図(Wikipediaより引用)

CPAPによる治療は保険診療として認められており、専用の機器を月々4~5千円程度でレンタルして自宅にて利用することができる。但し保険診療扱いとするためには毎月担当医師による診療が必要となってくる。毎月の診療が困難である場合はCPAP装置を購入する(20~40万円程度らしい)ことも一応出来るみたいである。

使用感には後述するが、空気を送り込む装置であるため使用中(=睡眠中)は装置の稼働音やマスクにある穴から空気が漏れる音が絶えず鳴ることになり、マスクを固定するためにヘッドバンドなどを装着する必要がある。就寝時の稼働音やマスク装着による不快感などを覚える場合もあるが、原則慣れるしか解決法はないようで、それが嫌で治療を止めてしまう人も一定数いるらしい。

CPAPは対症療法に過ぎず、気道が塞がる原因を取り除かない限りSASが治ることはないと言われている。つまり原因が解消されない場合はずっとCPAPをつけて寝ないといけないということになるので、不快感などに慣れない場合は治療を続けるのが困難だと考えるのも理解できなくはない。


ちなみにCPAPによる治療が必要となるのは重度のSASと診断された場合である。

軽度~中度のSASと診断された場合は、「舌根部が喉を塞がないように横向きで寝る」「脂肪が気道を塞がないようにダイエットする」といった生活スタイルの改善で対応するケースもあれば、「睡眠時にマウスピースを付けて下顎が気道を狭めないように矯正する」という歯科医院との協力?で対応するケースもあるらしい。他にも外科手術を受けて気道を広げることもできるらしい。

本項でCPAPの説明を長々と書いていることからも分かるとおり、私は重度のSASと診断されている。


睡眠時無呼吸症候群の発覚

いびきによる発見は出来なかった

SASの説明でも触れたとおり、SASの症状として一番特徴的なのは「いびき」の存在である。

ガーガー、ゴーゴーといびきをかいて眠っている人が突然静かになって、しばらくの無音ののちに水泳中の息継ぎのように息を吐くようにまたいびきを再開する。SASについて詳しくない人が見たとしても『こいつ大丈夫か?』と感じる姿であろうことは容易に想像可能だろう。

このように「いびき」の様子を自覚することができれば、そこから近くの病院へ行って診察を受ければSASであるかどうかの診断を受けることができる。


但し、これは自分が眠っている間の「いびき」の様子を観察できる同居者がいることが大前提となる。

残念ながら私は単身者である。私が眠っている間の様子を見てくれる存在がいるとしたらせいぜい背後霊ぐらいである。背後霊はいびきの様子を事細かに教えてはくれないので、ひとりで眠っている私がどんな状態で眠っているのかを私が知ることはできないのである


いびきの有無は確認できる

単身者は自分のいびきを聞くことはできないというのはその通りなのだが、いびきをしているかどうかを確認することは単身者でもできる。同居者がいないのであれば、文明の力を借りれば良いというわけである。そう、スマートフォンを利用するのである。

アプリストアを検索すればいびきを計測するアプリはいくつも出てくる。専用のアプリをわざわざインストールしなくとも、自分の眠っている様子を録画や録音するように準備をしてから眠るようにすれば、後からいくらでも確認することができるというわけである。

しかし、何の理由もなく急に自分が眠っている様子を眺めようと考えて決行までする人はそんなにいないだろう。

私の場合は普段からPixel WatchとGoogle Healthアプリを使用して睡眠時間の計測を行っており、Google Healthアプリの前身であるGoogle Fitアプリの時代にはいびきを検知する機能があったので、自分が眠っている間にいびきをかいているであろうことを窺い知ることができた。(検知精度が低かったのか利用頻度が低かったのかは分からないが、現在のHealthアプリにはいびき検知機能はないようである)

旅行先で友人のいびきが気になって寝付けないということがたまにある私は「自分もうるさいいびきを立てていないか」と気になってしまい、眠っている時の様子を一度録音して確認したというわけである。

起床後に録音を確認した結果、ため息のようないびきが記録されていることがわかった。ただ録音した目的はSASの確認ではなかったので「そんなにうるさくなさそうだからいいか」と思い、この録音がSASの発見に直接つながるには至らなかった。


うつによる睡眠障害の発症

いびきの存在の確認から数年経って。

私はうつ病を患い、その症状の一つとして睡眠障害に悩まされるようになった。

夜は横になってもなかなか寝付くことができず、一度眠りについても何かあるとすぐに目が醒めてしまう。精神的にまいっていた私は睡眠状態の改善をするべく医者に相談して睡眠薬を処方してもらい、処方された睡眠薬を日々服用していた。

睡眠薬以外にも寝具を入れ替えてみたり、就寝時にはYouTubeに上がっている睡眠導入ミュージックを流してみたり、マインドフルネス(端的に言えば瞑想)を利用して就寝前に心を落ち着けてみたりと様々な方法を試みていた。そのどれが功を奏したのかは分からないが、少しずつ寝付くことができないという睡眠導入の問題は少し改善されて、すんなり眠れるという夜も毎日ではないものの時折でてくるようになっていた。

その一方で眠っている途中で目が醒めるという中途覚醒の問題は一向に改善されなかった。

睡眠薬の効果が弱いのかとかカフェインが良くないのかとかこちらも色々試してみていたものの効果は一向に見られず、そもそもの抑うつ状態が影響しているのかとも考えてとりあえず心の休息に努める日々が続いていた。


中途覚醒の規則性に気付く

ある日Google Healthに記録された睡眠データを眺めていると、ふと自分の睡眠状態にある傾向があることに気付いた。

睡眠開始から浅い眠りを経て覚醒し、また浅い眠りに戻って覚醒する…を繰り返していて、熟睡状態へ移行することがほとんどないのである。

人間の睡眠というのは「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2種類の睡眠を交互に繰り返していると言われている。

「ノンレム睡眠」は身体と脳の休息が行われている睡眠状態を表しており、所謂「熟睡」と呼ばれる状態がこれに該当する。一方、「レム睡眠」は脳は覚醒して身体だけを休めている状態で、浅い眠りと呼ばれる状態である。

一般的にヒトの睡眠はこの「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を交互に繰り返しており、その周期は90分から120分程度であると言われている。起床時は浅い眠りである「レム睡眠」状態から移行するとスムーズに目覚めることができるため、睡眠時間が睡眠の周期の倍数となるように調整すると毎日の目覚めが良くなると言われている。

身体は休んでいても脳は起きている「レム睡眠」
脳が休んでいる「ノンレム睡眠」

Healthアプリに記録された睡眠状態からの気付きと、この「ノンレム睡眠」「レム睡眠」の状況を組み合わせると以下のようになる。

  • 睡眠開始→レム睡眠→覚醒を繰り返している。(ノンレム睡眠へ移行していない)
  • 2時間程度でこの周期を繰り返している。(睡眠の周期はレム睡眠とノンレム睡眠の周期に似ている)

本来レム睡眠、つまり熟睡状態へ移行するタイミングで必ず目が醒めているということは、脳と身体の双方が休息状態に入ったタイミングで睡眠を阻害する『何か』が発生しているのではないか?と思い至ったわけである。


元々私は眠っている間に喉が乾燥しやすいという性質があり、冬場の乾燥しやすい時期は就寝時の加湿器が欠かせない。おそらく自分は眠っている時に口呼吸をしてしまっているのだろうなぁと推察していた。

そこに過去に自分で録音して確認した「いびき」の存在が思い出された。

ひょっとして眠っている間に舌の筋肉が弛緩して気道を塞いでしまうから、頑張って呼吸をしようとするせいでいびきをかくし、口呼吸になるし、そうやって体に指示を送るために脳が頑張るから熟睡状態に入れずに目が醒めてしまうのでは?


そういう考えに至った私は精神科の主治医にその旨を相談してみたら耳鼻咽喉科での診断を勧められ、SAS治療への注力を謳っている近所の耳鼻咽喉科にて診察を受けてみたところ、すぐに重度のSASであると診断されたのであった。

罹っているかもしれないと予想したのは自分自身であるもののさすがに重度と即診断されるとまでは予想していなかったので、診断結果に虚を突かれたような気持ちになったものの、「SAS治療を受ければ睡眠問題が解決されるかもしれないし、睡眠状況が改善されたら今の抑うつ状態も改善されるかも?」と持病の寛解に向けた光明が見えた気分にもなった私はCPAP利用開始の書類にためらうことなく署名してCPAP治療を始めることになったのであった。


CPAPによるSAS治療

自宅に届いたCPAPの感想

耳鼻咽喉科で重度のSASと診断を受けてから数日後。自宅にCPAPの装置が送られてきた。

装置自体は小型のプロジェクターぐらいの大きさだった。眠る時に使用する装置だから外出時も持ち運びしやすいようにコンパクトに設計されているらしく、専用のバッグも同封されて送られてきた。出張とか旅行とかに一緒に持っていこうと考えるにはやや大きく、持ち運べるけどあんまり持ち運びたくはない。そんな程度の大きさである。


CPAPで使用するマスクには種類がいくつかあるらしく、

  • 鼻だけを覆うマスク
  • 鼻と口の両方を覆うマスク
  • 鼻にチューブを刺すタイプのマスク

とある中で私の元に送られてきたのは鼻だけを覆うタイプのCPAPであった。

いらすとやには本当に色んな画像が用意されている

睡眠中に口呼吸をしているので鼻だけのマスクで大丈夫だろうか?と一瞬思ったが、装着してみるとマスクの縁で上唇が押さえられるので口を開けるのに若干の抵抗があったのでこれで十分なのかもしれない。

マスクをつけた自分の姿はさながらメディカルマシーンに入ったサイヤ人のようである。あのメディカルマシーンみたいにマスクだけで顔に貼りつくことは当然ないので、頭にベルトを巻いてマスクを固定することになるのでサイヤ人よりも重症っぽく見える。

きつい腰ベルトとか狭い襟元とか肌に強く密着する部分は気になるタイプなので、頭に巻くベルトや鼻に着けるマスクの縁など顔に接する箇所が痒くなったりしないかと気にしたものの、配慮された素材なのかそこまで気にはならなかった。水泳用のゴーグルに近い材質のようなので、元競泳経験者だから慣れていただけなのかもしれない。これから夏本番になって汗をかくようになったり、冬になって肌が乾燥するようになったりしたら変わってくるかもしれないが、少なくとも春~初夏の時期である今のところは大丈夫そうである。


CPAPを使ってみる

マスクを装着してCPAPを起動すると、装置からマスクへ空気が送られてくる。

マスクには小さな排気用の穴がついていて、常にその穴から空気が漏れる。この穴が減圧の役割を果たしているようで空気圧をそれほど感じないようになっている。息を吸うとCPAPから送られた空気が勢いよく肺へ流れ込んできて、息を吐いている時は呼気と一緒に穴から空気が抜けていくような感じである。

息を吸っている時と吐いている時とで空気の流れが変わって、それに伴って聞こえてくる音が変わってくる。まるでCPAPの装置が自分の呼吸に連動して動作を変えているような感じがして、とてもハイテク(古語)な装置を使っているような気分になってくる。


マスクの縁で上唇を押さえられているのと合わせてCPAPから送られてくる空気が鼻から肺の間を直通で往復するからか、CPAPの使用中に口呼吸はしにくい感覚がある。勿論CPAP使用中に口を開けることもできるのだが、口を開けると鼻から入った空気が肺を経由せずに口から出ていくのが通常あり得ない空気の流れになる所為なのか、体内に気圧差があるような何とも言えない感覚になる。高所で押し窓を開ける時に一瞬感じる気圧差が、口を開ける時に口元で感じるような、そんな感じ。

眠っている間にどうなっているのかは分からないが、口呼吸したら目が醒めそうな気がするのでたぶんずっとマスク経由で鼻呼吸になっていそう。


CPAPを使用しながら実際に眠ってみる。

装置や空気が流れる音はしているがそれほど大きな音ではないし、先程も書いた通り自分の呼吸に合わせて聞こえる音が変わるために一定のリズムを刻んでいるように聞こえなくもないので、個人的にはそれほど気にならなかった。元々就寝時に睡眠導入ミュージックを導入していたので音そのものに慣れているというのもあるかもしれない。

マスクやベルトの装着感はそれほど気にならないが、装着位置がズレていたり汗を少しかいたりするとやっぱり少し気持ち悪さを覚える。CPAP稼働中にマスクを外すとすごい勢いで空気が出てきてちょっとビックリする。

寝相はそれほど悪くないタイプなので支障はないが、寝返りを打つと装置とマスクを繋ぐパイプがちょっと邪魔に感じることはある。あとマスクをつけた状態での呼吸に慣れてから外すと、息を吸った時に逆に空気が入ってこないような感覚になってそれはそれで独特な気分になる。

そんな感じで全く気にならないというわけではないが、個人的には普通に眠ることはできる程度の違和感といったくらいである。


CPAPを使ってみた感想(半月経過)

CPAPを使用し始めて半月ほど経過した感想。

本格的なCPAPの効果は1か月くらい継続利用して出てくるらしいので、まずはファーストインプレッションということで。


・中途覚醒の頻度が激減した

これが一番感じている効果。

前述したとおり、元々2時間おき程度に一晩で2~3回目が醒める感覚があったのだが、その中途覚醒がほとんどなくなった。たまに目が醒める時はあるので全くなくなったというわけではないのだが、あっても一晩に一回ある程度なので起きた時の感覚がだいぶ違う。

ついでに中途覚醒したらトイレへ行きたくなるという夜間頻尿と思しき症状も時々あったのだが、今のところ目が醒めてもトイレへ行きたくなることもない。

また、Google Healthアプリで測定している睡眠状況を確認してみても、熟睡状態と判定される時間があきらかに増えているので機械的に見ても睡眠状況が大きく改善されていることが伺える。


・日中の倦怠感、眠気は相変わらずある

まとまって眠れている時間が取れるようになって日中の眠気も改善されるかと思いきや、今のところそれは相変わらず残っている。

使用開始直後よりは半月経過した今の方が若干マシになってきているような感じがしないでもないので、これまでできなかった熟睡による脳の疲労回復は一朝一夕で出来るわけではなく、しばらく利用を続けていくことで解消されていくということなのかもしれない。というかできればそうであってほしいところである。


・抑うつ状態も相変わらずある

SASとうつ病は別のもので、SASが改善されたらうつも改善するんじゃないかと私が勝手に期待しているだけなので、当然のように今のところ相関関係はない。

むしろ自分が抑うつ気分であることを感じ取る時が少し増えたような気すらするが、都合が良いように解釈すれば日中の眠気に上書きされていた自分の精神状態が、CPAP治療を開始することで眠気が軽減されて自分の精神状態を感じ取りやすくなったとも言えるかもしれない。

まあ半月程度でうつ状態が改善されてめちゃくちゃ元気になっていたとしたらそれはそれで別の問題がありそうな気もするが。


終わりに

自覚症状から診察を受けてSASの判明してからCPAP治療を開始して半月経ったということで現時点の記録はここまで。少なくとも中途覚醒の頻度が減っただけでもかなり進展があったと感じている。この調子でもう少し良くなったらよいなあ。

あともしこの駄文を読んでくれている人の中に私と同じように睡眠の問題を抱えている人がいたら、SASの症例と自分の状態を見比べてみてもし該当する可能性があると感じたら診察を受けてみていただければと思います。


(たぶん)つづく。

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